本の修復・改装
『I Want To Spend The Rest Of My Life Everywhere With Everyone One To One Always Forever Now』
Damien Hirst
破損や不具合のあったDamien Hirstの作品集を、修復・改装しました。
Jonathan Barnbrookがブックデザインをしているので、とても格好良い本です。
ポップアップやスライド、切り抜き、ステッカーなど、およそ美術作品集とは思えない仕掛けの数々に作品が収められています。
この雰囲気を壊さないように、修理を進めていきます。
重い紙と仕掛け沢山で膨らんでしまったせいなのか、綴じが外れてしまいました。
本文が背幅よりだいぶ多くなっています。
本文を綴じ直していく前に、仕掛けなど不具合のある部分を修理していきます。
糊が染み出して動かないスライド。引き手も取れてしまいました。
仕掛けページを開いて糊を除去し、引き手を強化してより付け直しました。
無事スライドが動きました。
サメがいなくなるのですね。(この時初めて知りました。)
途中に挟まれていた4枚の透明シート。
これはページだったのではと指摘を受け確認したところ、ノドに当たる部分に糊の跡が・・・(これでは定着しないよ・・・心の声)。
ホイルペーパーで足継ぎをして折丁にし、綴じ直しました。
本文修理
元の綴じを一旦全て外すことも考えましたが、それによって本体を傷つけてしまうデメリットの方が大きかったので、補修と補強を兼ねて、元の綴じの上から全ページ綴じ直しました。
クーターを新たに付けました。
スピン先のクロス。本来ここに収まる予定のようですが、溝が浅くて収まっていません。
見返しを外し、表紙に2mmボードを足して収まるようにしました。
厚さ的には収まるようになったのですが、動いてしまうので、しおり紐でとめました。
この修復のために見返しを外していますが再利用できる状態では無かったため、元画像をスキャン、プリントした新しい紙を見返しに使用しています。
完成しました。
背幅を本文に合わせて増やし表紙のボート紙の厚みも増やしたので、表紙が足りなくなったため、溝の部分に同系色のスキバルテックスを足しています。
ずっと続けて行っていた訳ではないとはいえ、2年くらいかかってしまいました。
おかげさまで、きちんと開くことができて、仕掛けも安心して楽しめるようになったと思います。
店頭・online shop でご購入できますので、是非お手に取っていただけると嬉しいです。
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Special thanks to Miyako AKAI